法人成りする個人事業主の税務上の注意点

本日の名古屋駅前。モニュメントがきれいになくなっています。

個人が年の途中に法人を設立し、個人事業主として営んでいた事業をその法人へ引き継ぐことを法人成りといいます。

法人成りした際の個人の税務関係で気をつけることがいくつかあります。

目次

届出に関する注意点

届出については、事業廃止後比較的早く手続き期限が到来するものが多いです。
廃止後速やかに提出と具体的な期限の記載がないものもあれば、2月以内というものもあります。

事業廃止に伴う届出

事業を廃止することを税務署と都道府県税事務所に届出する必要があります。
届出をしないと、税務署と都道府県税事務所が事業を廃止したことが把握できず、課税関係が変わってきます。
例えば、事業税(都道府県税の一種)の事業主控除の月割額が正しく計算れません。

従業員を雇っていたら社会保険と労働保険関係の届出

従業員を雇っており、社会保険または労働保険の適用事業所であった場合には、廃止の届出が必要になります。

申告に関する注意点

事業廃止年については、廃止直前までの事業所得について申告が必要です。

法人に棚卸資産・固定資産を移す時は、売却か出資

個人から法人に事業の引継ぎを行う際は、個人が所有していた資産を法人に売却するか出資として移転させるかのどちらかになります。

棚卸資産を売却した場合は、通常の販売と同様売上に計上します。
固定資産を売却した場合は、譲渡所得として通常の販売とは異なった計算方法により計算することになります。

事業所得の申告に加え、譲渡所得と給与所得と合わせて申告

事業廃止直前までの収入と経費を計算し事業所得を計算します。
また、上記のように固定資産を売却した場合は譲渡所得として、また法人から得た給与は給与所得として確定申告をします。

課税事業者ならば消費税申告

事業廃止の2年前の課税売上高が1,000万円を超える場合には、消費税の申告も必要になります。
その際、事業用の固定資産を法人に売却していた場合は、その売却金額も消費税の計算上は課税売上高として計算します(非課税となる資産の売却は除く)。

来年課税される事業税の見込計上

事業税は、昨年の事業所得の金額を基準として計算します。
そして事業税を納付した場合には、納付した年の経費として計上が認められます。

しかし、事業を廃止した翌年は事業税を納めても経費として計上する事業がありません。
個人あてに課された事業税を法人で払っても法人の経費とはなりません。

このような場合は、最終の事業所得申告の際に、翌年課される事業税を概算で計算し見込計上することになります。
そして翌年届いた事業税の納付書は、そのまま納付書を使用し納付することなります。

その他の注意点

これまで事業の取引があったお客さんとの間で結んでいた契約は、新たな法人との契約に締結のし直しが必要になります。

例えば、工場を賃借していた場合や売上に係る契約など、個人名義で契約していたものは法人名義に変更しましょう。

法人設立したては忙しい

今回は個人の税務上その他の注意点について記載しました。
法人についても税務上注意すべき点がいくつかあります。また別の機会に記事にします。
これらを並行して行わなければいけませんので、法人設立当初はとても忙しくなります。

税務署への届出などは税理士にお任せいただければ、肝心の事業運営に集中することができます。
ご相談などがあれば、問い合わせフォームよりお問い合わせください。

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1979年(昭和54年)9月23日生まれ
大阪府茨木市出身
大学進学で神奈川県・東京都に移住。
結婚を機に愛知県に移住。
塾講師・PC販売員・塾教室長を経て会計業界へ。
2023年1月、税理士登録し独立開業。

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