なぜ税金を納めるのか~税金の存在意義~

昨日今日と小学校で行う租税教室のパワーポイントを作成していました。

租税教室で伝える内容は、大人ならなんとなくわかっていることだとは言え、
改めて知っておいた方がよいのではないかというものになっています。

目次

そもそも税金とは何なのか

税金については、財務省のホームページに次のように解説されています。
税金は公的サービスを運営するための費用を国民全員で賄うために納めることになります。

税金とは、年金・医療などの社会保障・福祉や、水道、道路などの社会資本整備、教育、警察、防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。みんなが互いに支え合い、共によりよい社会を作っていくため、この費用を広く公平に分かち合うことが必要です。

財務省ホームページ-税制(国の税金の仕組み)

しかし、税金を納付したからといって納付した分に見合った公的サービスを受けられるかというと、
必ずしもそうではありません。これを「租税の非対価性」といいます。
相互扶助の考えから税金を納めることになります。

以前に記事にしました、公共施設なども税金で運営されています。

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税金はなぜ納めるのか

税金を納める根拠は、日本国憲法に規定されています。

日本国憲法
第29条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
第30条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

e-Gov-日本国憲法

納税については、よく第30条の納税の義務だけに言及されることがあります。
しかし、前段の第29条で財産権について規定があり、日本国民は財産権を保護されています。
税金の徴収というのは、その財産権を国家が侵害することになると考えられています。

租税は、一方的・権力的課徴金の性質をもつ(租税の権力性)。租税は、国民の富の一部を強制的に国家の手に移す手段であるから、国民の財産権への侵害の性質をもたざるをえない。

金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2020年)10頁

したがって、法律によって定められた税金を納めることになります。

公平に徴収するための複数の税目

「なんでこんなにたくさんの税金を取られるんだ」という声をよく耳にします。

生活する中で触れる税目としては、所得税・消費税・自動車税・固定資産税・市県民税・酒税・たばこ税などなどがありますでしょうか。
その他ここには挙げていないものもあります。
日本には約50種類の税目があるそうです。

徴収する基準(課税物件・課税標準)の違いによって、公平(水平的公平と垂直的公平)になるよう設計されています。

水平的公平とは経済力が同等の人には等しい納税を、
垂直的公平とは経済力のある人にはより大きな納税を求めることをいいます。

一例をあげると、次のようになります。

  • 法人税、所得税:所得(もうけ)に対して課税
  • 消費税:消費する能力に対して課税
  • 相続税、贈与税:移転する財産の価格に対して課税

このように複数の税目を設定することで、より公平に税を徴収できるようになっています。

納税は社会貢献である

先に書いたとおり、税金は公的サービスの維持費であることは間違いありません。
ニュースで無駄遣いを指摘されている事実がたびたび報道されていますが、
本当に無駄かどうかもわかりませんので、この検証については本記事では割愛します。

そう考えると、税金を納めることは社会貢献であり責任であるといえます。
「税金をとられるのは嫌だ」と私的支出を計上し脱税を図ることは、社会的責任を果たしていないのではないでしょうか。

税金は財産権の侵害なので、誰にとっても痛手ではありますが、
税金の存在意義を知り、納税することで社会貢献できていることが理解できれば、納得できるのではないかと思います。

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1979年(昭和54年)9月23日生まれ
大阪府茨木市出身
大学進学で神奈川県・東京都に移住。
結婚を機に愛知県に移住。
塾講師・PC販売員・塾教室長を経て会計業界へ。
2023年1月、税理士登録し独立開業。

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