設立したての法人の社長の給与の決め方と支給時期

法人を設立した際に社長ほか役員に対する給与(以下、役員報酬といいます。)を支給する際には、いくつか注意点があります。

今回は毎月支給する役員報酬についての注意点を記事にします。

目次

役員報酬はどのように決まるか

役員報酬については、法人を設立した際の定款(ていかん)に記載してあることがほとんどです。
定款は司法書士や行政書士に作成を依頼することが多いでしょう。

定款に「取締役の報酬等」という条項があります。
その条項に役員報酬の決め方について記載してあります。

よくある例だと、

(取締役の報酬等)
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益は、株主総会の決議をもってこれを定める。

と記載されています。
株主総会で決めてくださいね、と定款に定めています。
つまり、株主が役員報酬を決めることになります。

取締役が3人以上いると、取締役会という機関を設置することができます。
株主総会において「取締役会に一任する」という決議があれば、取締役会において役員報酬を決めます。

なお、ここで定める役員報酬の額はいわゆる「額面金額」です。
社会保険料控除前・源泉所得税住民税控除前の金額ですのでご注意ください。

役員報酬の金額を変える時期の制限

毎月支給する役員報酬については、法人税法に取り決めがあります。
事業年度開始の日から3か月以内に変更をし、その変更した金額が事業年度を通じて同額でなければ、
法人税の計算上の経費の額に入らないことになります。

(役員給与の損金不算入)
第34条
内国法人がその役員に対して支給する給与(中略)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(中略)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)
(以下略)

e-Gov法令検索-法人税法

(定期同額給与の範囲等)

第69条
法第34条第1項第1号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一 法第34条第1項第1号に規定する定期給与(中略)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
イ 当該事業年度開始の日の属する会計期間(中略)開始の日から三月(中略)を経過する日(中略)まで(中略)にされた定期給与の額の改定
(以下略)

e-Gov法令検索-法人税法施行令

この取り決めに沿わない支給をしても会計上は経費になりますが、法人税の計算上経費の金額にならないので、その分法人税を納付する金額が増えます。

設立後3月以内に臨時株主総会を開いて報酬を定め支給する

法人を設立したら、3月以内に臨時株主総会を開いて報酬を定める決議をします。
その株主総会で定めた金額を役員報酬として支給します。

このタイミングを逃すと、設立初年度は役員報酬なしという事態になります。
設立したらすぐに役員報酬を定める臨時株主総会を開きましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

1979年(昭和54年)9月23日生まれ
大阪府茨木市出身
大学進学で神奈川県・東京都に移住。
結婚を機に愛知県に移住。
塾講師・PC販売員・塾教室長を経て会計業界へ。
2023年1月、税理士登録し独立開業。

目次